不出来な学生の、不出来なブログ

高校生がクソみたいなブログを書くだけです。

学校の帰宅途中に落ちていた、本物の「ドラゴンボール」の話。

日記 6/14(月)

 

 憂鬱な学校が終わり、下駄箱から靴を履き、すたすたと歩いている時です、小さな背丈にカーディガンを着た女子を見かけました。

 

 僕は昔からカーディガンみたいな柔らかい素材の服を着た女子が好みだったので、凄い好みの女の子がいるなと、疲れた学校帰りの保養として、彼女を目に焼き付けるようにじっくり見ていました。

 

 すると、彼女は急いでいるのか少し駆け足で走り始めます。「まさか」これは僕が彼女を凝視していたのがバレてしまったのか?一瞬僕はそう思い焦りましたが、凝視していた僕から言わせると、彼女はこちらの方を全く見る素振りすら見せず、校門に向かって一直線に駆けていたので、それはないです。

 

 そんな事を考えながら彼女を見ていると、トン、トン、と彼女のおしゃれなバッグから、櫛やら手鏡やら、さらには良くわからないガチャのカプセルみたいなやつが落ちてきます。良くわかりませんでしたが、きっとそれは、おしゃれな女子のためのおしゃれになるためのおしゃれなツールだったのでしょう。一定間隔を空けて落ちていくその光景は、まるで猛獣か何かをおびき寄せる餌の配置の様でした。

 

 そして、それを見て瞬時に僕は悟ります。これを拾えば彼女と少し、ほんの少し接触できるではないかと。物を漁る乞食の様な勢いで、必死にトン、トン、と落ちていった物たちを次々に拾っていきます。その時の気分は「女子と話したい」という気持ちを叶えて貰うため、ドラゴンボールを集めているかのよう。僕は刹那的な速さで物を拾い、駆け出します。彼女も何か急いでいるようで、僕から逃げる様に全力で走ります。帰宅部最速50m7.3秒の真価がここで初めて発揮されます。僕は出せる力の全てを振り絞り、彼女に追いつきました。

 

 そして「すみません!めちゃくちゃ落としてます!!」と彼女に勢いよく話しかけ、拾い集めた5つの財宝を渡します。すると彼女は媚び諂う様な目と声で「ありがとうございます!」と言ってくれました。僕は大満足、その時の媚び諂うような目と声を頭の中で反芻しながら、僕はゆっくり帰宅の自転車を走らせました。

 

 きっとラブコメなら、落としたものの中にペンダントがあり、これは僕が幼少期の時にある女の子と一緒にお揃いを買ったあのペンダント!?みたいなひょんなことが起こり、起承転結の「起」として役割を果たしていくんでしょうけど、僕の場合、起承転結の「き」の字も感じないまま、一瞬で物語が終了しました。彼女からしてみれば「急いでいて物を落としてしまった時、物を拾って渡してくれたモブC」くらいなものでしょう。帰宅途中、彼女の事を思い出すと同時に、現実の不如意さを感じ、じわじわと悲しくなりました。速く家に帰ってアニメを観よう、家につく頃にはそれしか頭になかったです。